事業者(免税事業者を除く。)が国内において行った課税仕入れ又は特定課税仕入れにつき、
返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けたことにより、
仕人れに係る対価の返還等(注1)を受けた場合には、
一定の金額をその返還等を受けた日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額とみなして、
仕入れに係る消費税顴の控除の規定を適用する。
(注1)仕人れに係る対価の返還等とは、
国内において行った課税仕入れに係る支払対価の額若しくは特定課税仕人れに係る支払対価の額の
全部若しくは一部の返還又はその支払対価の額に係る買掛金等の全部若しくは一部の減額をいう。
2.課税仕入れ等の税額の合計額の計算方法 (法32①)
(1)全額が控除される場合
①から②を控除した残額
①課税仕入れ等の税額の合計額
②仕人れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注2 )の合計額
(注2)課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に108分の6.3を乗じて算出した金額及び特定課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に100分の6.3を乗じて算出した金額
②個別対応方式の場合
①から②を控除した残額に③から④を控除した残額を加算した金額
①課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額
②課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕人れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額
③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕人れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
④課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕人れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
(3)一括比例配分方式の場合
①から②を控除した残額
①課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
②仕人れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
3.控除しきれない場合(法32②)
仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を
その返還等を受けた日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額から控除して控除しきれない金額は、
課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、 その課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。
4 .相続、合併、分割の場合(法32③⑦)
(1)相続により事業を承継した相続人が、被相続人により行われた課税仕入れ又は特定課税仕入れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その相続人が行った課税仕入れ又は特定課税仕入れにつき仕入れに係る対価の返還等を受けたものとみなして、この規定を適用する。
(2) (1)の規定は、合併により被合併法人から事業を承継した合併法人又は分割により分割法人から事業を承継した分割承継法人について準用する。
5 .簡易課税の適用を受ける場合(法37①)
この規定は、簡易課税の適用を受ける場合には適用されない。
6.留意点 (法30①)
上記の「課税仕入れ」からは、「特定課税仕入れ」を除く。
1 .課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合(法32④)
事業者(免税事業者を除く。)が保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額
の全部又は一部につき、他の法律の規定により、還付を受ける場合には、
一定の金額をその還付を受ける日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額とみなして、
仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用する。
2.課税仕入れ等の税額の合計額の計算方法 (法32④)
(1)全額が控除される場合
①から②を控除した残額
①課税仕入れ等の税額の合計額(仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額)
②還付を受ける消費税額の合計額
②個別対応方式の場合
①から②を控除した残額に③から④を控除した残額を加算した金額
①課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額(仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額)
②課税資産の譲渡等にのみ要する課税貨物につき還付を受ける消費税額の合計額
③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額(仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額)
④課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税貨物にっき還付を受ける消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額
(3)一括比例配分方式の場合
①から②を控除した残額
①課税仕人れ等の税讀の合計額に課税売上割合を乗じて計算した額
仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に宿上割合をじて計算した金額を控除した残額)
②還付を受ける消費税額の合計額に課税売上割合を乗して計算した金額
3 . 控除しきれない場合 (法32⑤)
還付を受ける消費税額の合計額をその還付を受ける日の属する課税期間の課税仕入れ等の税額の合計額から控除して控除しきれない金額は、
課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、
その課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。
4.相続、合併、分割の場合(法32⑥⑦)
(1)相続により事業を承継した相続人が、被相続人による保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の全部又は一部につき、
他の法聿の規定により、還付を受ける場合には、
その相続人による保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の全部又は一部につき還付を受けるものとみなして、
この規定を適用する。
②(1)の規定は、
合併により被合併法人から事業を承継した合併法人又は分割により分割法人から事業を承継した分割承継法人について準用する。
5.簡易課税の適用を受ける場合 (法37①) この規定は、簡易課税の適用を受ける場合には適用されない。
(1)内容
事業者(免税事業者を除く。)が国内において調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れを行い、又は課税貨物を保税地域から引き取り、
かつ、
その課税仕入れ等の税額につき比例配分法により仕入れに係る消費税額を計算した場合(注1)において、
その事業者(注2)が第3年度の課税期間の末日においてその調整対象固定資産を有しており、
かつ、
第3年度の課税期間の通算課税売上割合が仕人れ等の課税期間の課税売上割合に対して著しく増加又は著しく減少したときは、
調整税額をその第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算し又は除する。
この場合において、その加算後又はその控除後の金額をその課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
(注1)課税仕入れ等の税の全額が控除された場合を含む。
(注2)事業を承継した事業者である相人、合併法人、分割承継法人を含む。
(2)調整税額
①著しい増加・ ②著しい減少・
イ 調整対象基準税額に仕入れ等の課税期間の課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額(仕入れ等の課税期間に全額が控除された場合には、調整対象基準税額の合計額)
口 調整対象基準税額に通算課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額
2.控除しきれない場合(法33③)
課税売上割合が著しく減少したことにより 、
調整税額をその第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額から控除して控除しきれない金額は、
課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その第3年度の課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。
3.簡易課税の適用を受ける場合(法37①)
この規定は、簡易課税の適用を受ける場合には適用されない。
4 用語の意義(法2 ①十六、33①0、令5、53③).
①調整対象固定資産
資産以外の資産で建物、構築物、鉱業権その他の資産のうち、
次の金額が一の取引単位につき20万円以上のものをいう。
❶課税仕入れに係る支払対価の額の108分の20に相当する金額
❷特定課税仕入れに係る支払対価の額
❸保税地域から引き取られるその資産の課税標準である金額
②比例配分法
次に定める方法をいう。
❶個別対応方式により課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法
❷一括比例配分方式
③第3年度の課税期間
仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間を
④通算課税売上割合
仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間に適用されるべき課税売上割合を一定の方法により通算した課税売上割合をいう。
⑤仕入れ等の課税期間
調整対象固定資産の課税仕入れの日若しくは特定課税仕入れの日又は保税地域からの引取りの日(特例申告の場合には、その申告書の提出日)の属する課税期間をいう。
⑥調整対象基準税額
第3年度の課税期間の末日に有する調整対象固定資産の課税仕入れ等の税額をいう。
上記の「課税仕入れ」からは、「特定課税仕入れ」を除く。
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