仕入れに係る消費税額の控除

税額控除等

1 . 仕入れに係る消費税額の控除 (法30①)

事業者 (免税事業者を除く。) が、 国内において行う課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、
次の日の属する課税期間の課税標準鎖に対する消費税額から、
その課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(注1)、
その課税期間中に国内において行った特定課税仕入れに係る消費税額(注2)及び
その課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(注3)につき課された又は課されるべき消費税額
の合計額を控除する。

(1)国内において課税仕入れを行った場合課 -> 税仕入れを行った日
(2)国内において特定課税仕人れを行った場合 -> 特定課税仕入れを行った日
(3)一般申告課税貨物につき申告書を提出した場合 -> 一般申告課税貨物を引き取った日
(4)課税貨物につき特例申告書を提出した場合 -> 特例申告書の提出日

(注1)課税仕人れに係る支払対価の額に108分の6.3を乗じて算出した金額
(注2)特定課税仕入れに係る支払対価の額に100分の6.3を乗じて算出した金額
(注3)他の法律等により消費税が免除されるものを除く。

2.課税売上高が5億円を超える場合等 (法30②④)
1の場合において、1の課税期間における課税売上高が5億円を超えるとき、
又は課税売上割合が95%に満たないときは、
1の規定により控除する課税仕入れ等の税額の合計額は、
次の方法により計算した金額とする。

(1)区分している場合
その課税期間中に国内において行った課税仕入れ及び特定課税仕入れ並びにその課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、
課税資産の譲渡度等にのみ要するもの、
その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び
課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの
にその区分が明らかにされている場合は、
①の方法により計算する。
なお、上記の区分がされている場合であっても、②の方法により計算することができる。

①個別対応方式
イと口を合計する方法をいう。
イ 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等の税額の合計額
ロ 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額

②一括比例配分方式
課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法をいう。

②区分していない場合
②の方法による。

3.帳簿等の保存 (法30⑦、令49①)
1の規定は、
帳薄及び請求書等(注)を保存しない場合には、適用しない。
ただし、災害その他やむを得ない事情により保存できなかったことを証明した場合は、この限りでない。
き(注)課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満の場合、
3万円以上である場合においても請求書等の交付を受けられなかったことにつきやむを得ない理由があるとき又は
特定課税仕人れに係るものである場合には、帳薄

4.保存期間 (令50①②)
帳簿はその閉鎖日、
請求書等はその受領日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、
納税地又は事務所等の所在地に保存しなければならない。
ただし、一定の帳簿又は請求書等については、課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から5年間を超えて保存することを要しない。
なお、課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から5年を経過した日以後は、財務大臣の定める方法によることができる。

内容
個別対応方式による場合において、
課税売上割合に準ずる割合で次の要件の全てに該当するものがあるときは、
その承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、
課税売上割合に代えて、その割合を適用する。

① 事業の種類等に応じて合理的に算定されるものであること。
② 納税地の所轄税務署長の承認を受けたものであること。

(2)不適用の届出
その適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書の提出日の属する課税期間以後の課税期間については、
その割合は適用しない。

6.一括比例配分方式の継続適用 (法30⑤)
事業者は、
一括比例配分方式により計算することとした課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始する各課税期間において
その方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、個別対応方式により計算することはできない。

7.簡易課税の適用を受ける場合 (法37①)
この規定は、簡易課税の適用を受ける場合には適用されない。

8.留意点 (法30①) 一
上記の「課税仕人れ」からは、「特定課税仕入れ」を除く。

上記「5.課税売上割合に準ずる割合」の適用又は不適用にあたって、提出する申請書又は届出書は、次のとおりである。
(1)適用申請
消費税課税売上割合に準する割合の適用承認申請書(法30③、令47)
(2)不適用の届出
消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書(法30③)

適用の際は申請書で、不適用の際は届出書なんだね

用語の意義
①課税仕入れ(法2 ①わ二)
事業者が、事業として
他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、 又は役務の提供 (注4) を受けること(注5)
をいう。
(注4) 所得税法に規定する給与等を対価とする役務の提供を除く。
(注5) 他の者が事業としてその資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又はその役務の提供をしたとした場合に
課税資産の譲渡等(輸出免税等により消費税が免除されるものを除く。) に該当することとなるものに限る。

②特定課税仕入れ(法5①)
課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。

(3)課税期間における課税売上高(法30⑥)
①課税期間が1年である場合
課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(注6)の対価の額の合計額から、
売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額
(注6)特定資産の譲渡等を除く。

②課税期間が1年未満の場合
①の残額をその課税期間の月数で除し、
12を乗じて計算した金額
※1月未満の端数は、1月とする。

(4)課税売上割合(法30⑥)
課税期間中に国内において行った資産の譲渡等(注6)の対価の額の合計額のうちに
課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(注6)の対価の額の合計額の占める割合として
一定の方法により計算した割合をいう。

(5)課税仕入れに係る支払対価の額(法30⑥)
課税仕入れの対価の額(注7)をいう。
(注7)対価として支払い、
又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物、
権利その他経済的な利益の額とし、
消費税額及び地方消費税額に相当する額を含む。

(6)特定課税仕入れに係る支払対価の額(法30⑥)
特定課税仕入れの対価の額(注8 )をいう。
(注8)対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物、権利その他経済的な利益の額をいう。

1.帳簿の意義 (法3い)
帳簿とは、次の事項が記載されているものをいう。
(1)課税仕入れに係るもの
①課税仕人れの相手方の氏名又は名称
②課税仕人れを行った年月日
③課税仕人れの内容
④税仕入れに係る支払対価の額

(2)特定課税仕入れに係るもの
①特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②特定課税仕入れを行った年月日
③特定課税仕入れの内容
④特定課税仕人れに係る支払対価の額
⑤特定課税仕人れに係るものである旨

(3)保税地域からの引取りに係る課税貨物に係るもの
①課税貨物を保税地域から引き取った年月日(特例申告の場合には、その申告書の提出日を含む。)
②課税貨物の内容
③引取りに係る消費税額及び地方消費税額又はその合計額

2、請求書等の意義 (法32)
請求書等とは、次の事項が記載されているものをいう。
(1)事業者に対し課税資産の譲渡等(輸出免税等により消費税が免除されるものを除く。)を行う他の事業者が、
その事業者に交付する請求書、納品書等(小売業等に係る場合には①~④の事項)である場合
①書類の作成者の氏名又は名称
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③課税資産の譲渡等の内容
④課税資産の譲渡等の対価の額(消費税額及び地方消費税額に相当する額を含む)
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

(2) 事業者が課税仕入れにつき作成する仕入明細等(その課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。)である場合
①書類の作成者の氏名又は名称
②課税仕入れの相手方の氏名又は名称
③課税仕入れを行った年月日
④課税仕入れの内容
⑤課税仕入れに係る支払対価の額

(3) 課税貨物を保税地域から引き取る事業者が税関長から交付を受ける
その課税貨物の輸入許可書等である場合
①所轄税関長
②課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなった年月日(特例申告の場合には、その申告書の提出日を含む。)
③課税貨物の内容
④引取りに係る消費税の課税標準である金額、消費税額及び地方消費税額
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

3.留意点 (法5 ①、法30①)
(1)上記の「課税資産の譲渡等」からは、「特定資産の譲渡等」を除く。
②上記の「課税仕入れ」からは、「特定課税仕入れ」を除く。

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