簡易課税制度(中小企業の仕入れに係る消費税額の控除の特例)

税額控除等

中小企業の仕入れに係る消費税額の控除の特例(法37条)は、簡易課税制度とよばれています。この条文に規定される届出を出した場合、課税仕入れ等の税額の合計額が、法30条から36条までの規定にかかわらず計算されることとなります。

1 . 簡易課税の選択の届出 (法37①)

(1)内容
事業者(免税事業者を除く。)が、
納税地の所轄税務長にその基準期間における課税売上高が5,000万円以下である課税期間(分割等に係る課税期間を除く. )について簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、
提出日の属する課税期間の翌課税期間(注1)以後の課税期間(注2)については、
課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、
原則にかかわらず、一定の金額とする。
この場合において、その金額は、その課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
(注1)提出日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の一定の課税期間である場合には、その課税期間
(注2)基準期間における課税売上高が5,000万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。

(2)控除税額
次の金額の合計額とする。
①課税資産の譲渡等(輸出免税等により消費税が免除されるものを除く。)に係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額にみなし仕入率を乗じて計算した金額
②特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から特定課税仕人れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額

2 . 調整対象固定資産等の仕入れ等を行った場合 (法37③①)

( 1 )内容
簡易課税の適用を受けようとする事業者が、
次の①又は②の場合には、
その仕入れ等の日の属する課税期間の初日からその初日 (注3)以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、
簡易課税制度選択届出書を提出することができない。
(注3) 自己建設高額特定資産にあっては、 その建設等が完了した日の属する課税期間の初日

①調整対象固定資産
イ その仕入れ等に係る課税事業者選択不適用届出書の提出制限を受ける場合
ロ 新設法人又は特定新規設立法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中にその仕入れ等を行った場合

②高額特定資産
その仕入れ等を行った場合(上記①に該当する場合を除く。)
(2)適用除外
(1)の規定は、事業を開始した日の属する課税期間から簡易課税の適用を受けようとする場合には、適用しない。

(3)提出がなかったものとみなす場合
( 1 )の場合において、その仕人れ等の日の属する課税期間の初日からその仕入れ等の日までの間に簡易課税制度選択届出書を納税地の所轄税務署長に提出しているときは、その提出は、なかったものとみなす。

3 .選択不適用の届出(法37⑤ ~⑦)

(1)簡易課税制度選択届出書を提出した事業者は、
その適用を受けることをやめようとするとき、
又は事業を廃止したときは、
簡易課税制度選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

(2)簡易課税制度選択届出書を提出した事業者は、
事業を廃止した場合を除き、
その届出の効力が生する課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、
簡易課税制度選択不適用届出書を提出することができない。

(3)簡易課税制度選択不適用届出書の提出があったときは、
提出日の属する課税期間の末日の翌日以後は、
簡易課税の選択の届出は、その効力を失う。

② 相続により簡易課税の選択をしていた被相続人の事業を承継した場合におけるその相続があった日の属する課税期間
(相続年の納税義務の免除の特例により課税事業者となる課税期間に限る。)

(3) 吸収合併により簡易課税の選択をしていた被合併法人の事業を承継した場, 合におけるその吸収合併があった日の属する課税期間 (吸収合併事業年度の納 :
税義務の免除の特例により課税事業者となる課税期間に限る。)

(4) 吸収分割により簡易課税の選択をしていた分割法人の事業を承継した場合 : におけるその吸収分割があった日の属する課税期間 (吸収分割事業年度の納税 き義務の免除の特例により課税事業者となる課税期間に限る。)

5 .宥恕規定(法37⑧、令57の2 )

事業者が、
やむを得ない事情があるため簡易課税制度選択届出又は簡易課税制度選択不適用届出書を1の適用を受けようとし又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日(注4 )までに提出できなかった場合において、一定の申請書を、その事情がやんだ後相当の期間内に、納税地の所轄税務署長に提出し承認を受けたときは、これらの届出書をその課税期間の初日の前日に税務署長に提出したものとみなす。
(注4 )その課税期間が一定の課税期間である場合には、その課税期間の末日

6 .留意点(法5 ①、令56①)

上記の「課税資産の譲渡等」からは、「特定資産の譲渡等」を除く。

プラスα
上記「5.宥恕規定」の適用にあたって、提出する申請書は、次のとおりである。
消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書(法37⑧、令57の2)

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