1 .課税業務用から非課税業務用に転用した場合
(1)内容(法34①)
事業者(免税事業者を除く。)が国内において調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れを行い、又は課税貨物を保税地域から引き取り、
かつ、その調整対象税額につき個別対応方式により課税資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額を計算した場合において、
その事業者 (注1) がその調整対象固定資産をその課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は引取りの日 (注2)から3年以内にその他の資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、
調整税額をその業務の用に供した日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額から控除する。
この場合において、その控除後の金額をその課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
(注1)事業を承継した課税事業者である相続人、合併法人、分割承継法人を含む。
(注2)特例申告の場合には、その申告書の提出日
②控除しきれない場合(法34②)
調整税額をその業務の用に供した日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額から控除して控除しきれない金額は、
課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、
その業務の用に供した日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。
2.非課税業務用から課税業務用に転用した場合(法35①)
事業者(免税事業者を除く。)が
国内において調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れを行い、又は課税貨物を保税地域から引き取り、
かつ、
その調整対象税額につき個別対応方式によりその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額がないこととした場合において、
その事業者(注1)がその調整対象固定資産をその課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は引取りの日(注2)から3年以内に課税資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、
調整税額をその業務の用に供した日の属する課税期間の仕入れに係る消費税額に加算する。
この場合において、その加算後の金額をその課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
3 .調整税額(法34①、35① )
調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は引取りの日(注2)から、次の期間に応じてそれぞれによる。
(1)1年以内
調整対象税額
(2)1年超2年以内
調整対象税額の3分の2
(3) 2年超3年以内
調整対象税額の3分の1
この規定は、簡易課税の適用を受ける場合には適用されない。
5 . 用語の意義(法2 ①十六、34①、35①、令5 )
(1)調整対象固定資産
棚卸資産以外の資産で建物、構築物、鉱業権その他の資産のうち、次の金額が一の取引単位につき100万円以上のものをいう。
①課税仕入れに係る支払対価の額の108分の100に相当する金額
②特定課税仕入れに係る支払対価の額
③保税地域から引き取られるその資産の課税標準である金額
②調整対象税額
調整対象固定資産の課税仕入れ等の税額をいう。
6 .留意点(法30①)
上記の「課税仕入れ」からは、「特定課税仕入れ」を除く。
中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)
1.簡易課税の選択の届出 (法37①)
(1)内容
事業者(免税事業者を除く。)が、納税地の所轄税務署長にその基準期間における課税売上高が5 , 000万円以下である課税期間(分割等に係る課税期間を除く。)について簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、提出日の属する課税期間の翌課税期間(注1 )以後の課税期間(注2 )については、課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、原則にかかわらず、一定の金額とする。
この場合において、その金額は、その課税期間の仕入れに係る消費税額とみなす。
(注1 )提出日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の一定の課税期間である場合には、その課税期間
(注2 )基準期間における課税売上高が5、000万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。
(2)控除税額
次の金額の合計額とする。
①課税資産の譲渡等(輸出免税等により消費税が免除されるものを除く。)に係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額にみなし仕入率を乗じて計算した金額
②特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額
2.調整対象固定資産等の仕入れ等を行った場合(法37③①)
( 1 )内容
税額控除等
簡易課税の適用を受けようとする事業者が、次の①又は②の場合には、その仕人れ等の日の属する課税期間の初日からその初日(注3 )以後3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間は、簡易課税制度選択届出書を提出することができない。
(注3 )自己建設高額特定資産にあっては、その建設等が完了した日の属する課税期間の初日
①調整対象固定資産
イその仕入れ等に係る課税事業者選択不適用届出書の提出制限を受ける場合
ロ新設法人又は特定新規設立法人が、その基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中にその仕人れ等を行った場合
②高額特定資産
その仕入れ等を行った場合(上記①に該当する場合を除く。)
(2)適用除外
( 1 )の規定は、事業を開始した日の属する課税期間から簡易課税の適用を受けようとする場合には、適用しない。
(3)提出がなかったものとみなす場合
( 1 )の場合において、その仕入れ等の日の属する課税期間の初日からその仕入れ等の日までの間に簡易課税制度選択届出書を納税地の所轄税務署長に提出しているときは、その提出は、なかったものとみなす。
3 . 選択不適用の届出 (法
(1)簡易課税制度選択届出書を提出した事業者は、その適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、簡易課税制度選択不適用届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
②簡易課税制度選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、その届出の効力が生する課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、簡易課税制度選択不適用届出書を提出することができない。
( 3)簡易課税制度選択不適用届出書の提出があったときは、提出日の属する課税期間の末日の翌日以後は、簡易課税の選択の届出は、その効力を失う。
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4 .一定の課税期間(令56① )
を( 1 )国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間.
2)相続により簡易課税の選択をしていた被相続人の事業を承継した場合におけるその相続があった日の属する課税期間(相続年の納税義務の免除の特例によ!
り課税事業者となる課税期間に限る。)
( 3 )吸収合併により簡易課税の選択をしていた被合併法人の事業を承継した場一 合におけるその吸収合併があった日の属する課税期間(吸収合併事業年度の納:
税義務の免除の特例により課税事業者となる課税期間に限る。)
を( 4 )吸収分割により簡易課税の選択をしていた分割法人の事業を承継した場合:
におけるその吸収分割があった日の属する課税期間(吸収分割事業年度の納税:
義務の免除の特例により課税事業者となる課税期間に限る。)
5 .宥恕規定(法37⑧、令57の2 )
事業者が、やむを得ない事情があるため簡易課税制度選択届出書又は簡易課税制度選択不適用届出書を1の適用を受けようとし又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日(注4 )までに提出できなかった場合において、一定の申請書を、その事情がやんだ後相当の期間内に、納税地の所轄税務署長に提出し承認を受けたときは、これらの届出書をその課税期間の初日の前日に税務署長に提出したものとみなす。
(注4 )その課税期間が一定の課税期間である場合には、その課税期間の末日
6 .留意点(法5 ①、令56①)
上記の「課税資産の譲渡等」からは、「特定資産の譲渡等」を除く。
①ブラス
上記「5.宥恕規定」の適用にあたって、提出する申請書は、次のとおりである。
消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書(法37⑧、令57の2 )
1 .分割等に係る課税期間(令55)
簡易課税の適用がない分割等に係る課税期間は、次の課税期間とする。
( 1 )新設分割子法人 ①分割事業年度
分割等があった場合において、次の要件を満たすときの、新設分割子法人の分割等があった日の属する事業年度に含まれる課税期間。
【要件】
新設分割親法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額(注1 )が5,000万円を超えること
(注1 )新設分割親法人が2以上ある場合には、いすれかの新設分割親法人に係るその金額
②分割事業年度の翌事業年度
その事業年度開始の日の1年前の日の前日からその事業年度開始の日の前日までの間に分割等があった場合において、次の要件を満たすときの、新設分割子法人のその事業年度に含まれる課税期間
【要件】
新設分割親法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額(注1 )が5.000万円を超えること
③分割事業年度の翌々事業年度以後
その事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割等(注2 )があった場合において、次の要件を満たすときの、新設分割子法人のその事業, 年度に含まれる課税期間
【要件】
イその事業年度の基準期間の末日に新設分割子法人が特定要件に該当する
ロ新設分割子法人の基準期間における課税売上高として一定の金額と新設分割親法人の基準期間に対応する期間における課税売上高として一定, の金額との合計額が5.000万円を超えること (注2 )新設分割親法人が2以上ある場合を除く。
②新設分割親法人
その事業年度開始の日の1年前の日の前々日以前に分割等(注2 )があった場合において、
次の要件を満たすときの、新設分割親法人のその事業年度に含まれる課税期間
【要件】
イその事業年度の基準期間の末日に新設分割子法人が特定要件に該当する
ロ新設分割親法人の基準期間における課税売上高と新設分割子法人の基準; 期間に対応する期間における課税売上高として一定の金額との合計額が
5,000万円を超えること
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